こんばんは。オガサワラです。
映画『捨てがたき人々』を視聴したので、感想を書きます。
ネタバレなどもあるので気にされる方はご注意ください。
クズとクズが織りなす素晴らしい群像劇
映画の概要とあらすじ
大森南朋さんが演じるダメ男(というよりも人間のクズ)の狸穴勇介が本作の主人公。
生きることに飽きてしまった彼が生まれ故郷でクズい生活を送りながらも家庭を持ち葛藤するような話で、幸せとはいったいなんなのか問いかけられているような気持ちになる作品。
原作はジョージ秋山さんの漫画『捨てがたき人々』。
居た堪れないのは感情移入してしまうから
この映画に登場する人物はクズばかり。
しかしながら困ったことに感情移入してしまう面も少なからずあるので、僕はこの映画を観ていて、とても居た堪れない気持ちになるのです。
例えば、主人公の「生きることに飽きた」という言葉。似たようなことを考えたことが一度もないわけではありません。なんなら誰しも一度くらいは考えたことがあるのではないでしょうか。
しかし、大半の人間はだからといって何か行動を起こすわけでもなく、明くる日も淡々と過ごす。
本作の主人公、狸穴勇介は行動します。
自分の生まれ故郷に帰り、そこで出会った三輪ひとみさん演じる岡辺京子と強姦紛い(というか強姦だと思う)のセックスをし、なし崩し的に家族を持つという非常にグズい方向へですが。
さて、ここまで読んで岡辺京子に対して感情移入できないと思われる女性も多いのではないでしょうか。
そもそも強姦された相手と家庭を持つなんて…岡辺京子の行動理念が良く分からない。僕自身もそのように考える反面、彼女にも感情移入してしまうたちです。
岡辺京子は宗教に傾倒(真っ当な付き合い方はしていない)しているような人物で、精神的にかなり不安定に感じました。
家庭環境の影響もあり人間の持つ性、または欲に対して、激しく嫌悪を頂いており、潔癖なまでに自らは理性的であろうとします。
そして、結局ぶち壊されるのですが。
ここまでの流れが痛切に描かれていて観るに堪えないほど、生々しく感じます。
欲に流され、妬み恨み、そんなドロドロしたどうしようもない人間のクズい部分、程度はあれど僕の中にもそれは存在していて「人間って結局どうしようもないもんだよな」とまるで同族嫌悪のような感情が湧いてきます。
後半はハラハラした
本作を視聴した人間はきっと口を揃えて淡々とした映画であったというでしょう。
もちろん、作風は淡々としているのですが、後半はハラハラさせられました。
というのも、主人公のクズ、狸穴勇介が曲りなりにも父親になり家庭を持ち、幸せの尻尾を掴んだように思えるのです。
幸せな時、僕は焦燥感に駆られるタイプの人間です。
いつまでも幸せな状態の筈はないと勘ぐってしまうんですね。ましてやこれは映画です。
あ、これ、絶対に長くは続かんやつや…と、どんな形で、この幸せがぶち壊されるのかハラハラさせられてしまうという訳です。
まあ見事に、彼の幸せはぶち壊されるわけですが…、映画『捨てがたき人々』がどんな結末を迎えるのか気になる方は、ぜひ映画本編をどうぞ。
予め伝えておきますと、ぜんぜんスッキリしないラストなので、そういうの苦手な人には、おすすめしません。
鬱な物語が好みな方には合うかもです。漫画でいうと、つげ義春さんの作品や古谷実さん(鬱期)の作品がお好きな方にはおすすめです。
というか原作も漫画なので漫画で例えるのも変な話ですが、僕の守備範囲で例えると、ということで。
まとめ
というわけで今回は映画『捨てがたき人々』の感想でした。
原作の漫画をkindleで試し読みしてみたのですが、こちらもおもしろそうなので近々読んでみたいと思います。
気になる方は併せて、こちらも。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
