こんばんは。オガサワラです。
アニメ『SSSS.GRIDMAN』(グリッドマン)が面白い。考察記事は世に溢れているし書くネタもないかと思っていたのですが…、9話の衝撃が凄まじく、考察不可避でした。
というわけで9話目をベースに『SSSS.GRIDMAN』について考察していきたいと思います。ネタバレなどありますので気にされる方はご注意ください。
10話目視聴後の感想と考察は↓↓
物語の舞台は
アニメ『SSSS.GRIDMAN』を9話まで視聴してみて裕太達の生活している世界はどうやらコンピュータワールド(電脳世界)だということが分かりました。
特撮版の『電光超人グリッドマン』では現実世界の主人公がグリッドマンと同化することでコンピュータワールドに入り込み敵と戦うという設定で主人公が生活している世界とグリッドマンが怪獣と戦う世界は線引きされていましたが、今作『SSSS.GRIDMAN』では主人公達が生きている世界もコンピュータワールド(電脳世界)なのでグリッドマンや怪獣が存在する世界と裕太達の生活する世界が地続きとなっています。
今作のラスボスっぽいみためのアレクシス・ケリヴは特撮版の魔王・カーンデジファーと同じくハイパーワールドという別次元からの侵略者であると思われます。
で、特撮版のグリッドマンでは藤堂 武史という現実世界の媒介が必要だったのは分かるのですが、主人公もグリッドマンや怪獣も地続きのコンピュータワールド(電脳世界)で戦うのであれば、特撮版の藤堂 武史と同じような媒介として新庄 アカネをたてる必要はないのではないかと思えます。
そのあたりは、アレクシス・ケリヴには、あの世界で怪獣を自由に創造する権限がないのだと思います。
つまり怪獣を電脳世界に具現させるにも、あの世界のアドミニストレータである新庄 アカネが必要であるということなんでしょう。
このことからアレクシス・ケリヴの目的は管理者権限の奪取であると予想されます。最初は画面の中だけの存在だったアレクシス・ケリヴが画面の外に具現化されたのは、この計画が順調に進んでいる証拠なのかも知れません。
ちなみに、『SSSS.GRIDMAN』の元ネタは特撮版のお蔵入りした続編『電撃超人グリッドマンF』っぽいです。
続編企画として『電撃超人グリッドマンF』も存在し、本作の2年後を舞台に魔界の帝王アレクシス・ケリヴが新条 アカネという少女を傀儡にして侵略を開始、響 裕太という少年がグリッドマンと一体化して戦うというストーリーを予定していたがお蔵入りとなった。この設定は後述のアニメ版に流用されている。
【引用:Wikipedia】
あと、余談ですが、6話で登場した怪獣少女はアノシラス(2代目)とエンドロールに記載されており、特撮版の『グリットマン』の6話に登場する電子生物 アノシラスの2代目で間違いないと思います。同じ6話に登場させるあたりも面白いですね。
現実は何処へ
『SSSS.GRIDMAN』がコンピュータワールド(電脳世界)の話であるならば特撮版でいうところの現実は何処へ、というのが気になるところです。

【出典:SSSS.GRIDMAN】
↑の画像はOPに登場するものなんですが、新条 アカネが写っていないことが確認できます。もしかすると、この写真は現実世界のものなんじゃないかなと9話を視聴して思いました。
新条 アカネの正体は?
現実の世界に新条 アカネはいない…、としたら新条 アカネは一体何者なんだろうってことになるわけですが、ネットで調べてみると、死亡説だったりとか実は集合写真に写っていて性別が転換している説なんかもあるみたいです。
9話前半は1話目をなぞる形で六花が、そのままアカネに入れ代わっているという演出がありました。
この演出をみて、ああ裕太と付き合っているのは六花なんだろうなー、と察しですが、実はアカネが現実世界では男で性別転換して電脳世界で生きているのだとすると、裕太の夢でのアカネのポジションおかしくない?となります。
ただまあ、そのあたりは内海 将に対しても同じような感じで色仕掛けしてますし裕太への精神攻撃ということで片付けることも出来なくもないけれど、
新条 アカネ死亡説の方がしっくりくるかなーと個人的には感じます。何より…

【出典:SSSS.GRIDMAN】
「キスとかしないんっすか?」の破壊力。これ実は男の子がやってましたといわれた際に、その衝撃に耐えられる気がしない。
あと、まったく別方向からアプローチすると、そもそも新条 アカネ以外誰も実在していない説も面白いかと思います。
アレクシス・ケリヴがアカネに唯一の人間である君にしか怪獣は創造できない的なこといってましたし意外とある気がします。
だとしたらOPの集合写真の意味は?ってなっちゃいますけど。
真相は10話目とかで、ある程度、分かってきそうな雰囲気なので、楽しみに待つとします。
物語構造
『SSSS.GRIDMAN』の物語の構造についても少し考察しておきたいと思います。
物語の構造をひとことで表すなら、まあ俗にいうセカイ系ですよね。
アンチ勧善懲悪であり敵を倒すことではカタルシスを得られない。このあたり現代的かと思います。
セカイ系というと複雑に思えますが、その構造自体はシンプルで、新条 アカネという塔に幽閉された姫を助けることが目的であり、それを達することでカタルシスを得る物語です。
これは新城カズマさんの『物語工学論』でいうところの〈塔の中の姫君〉の類型なのですが、詳しく知りたい人は↓↓をぜひ読んでみてください。
物語を工学的に捉え、構造を7つの類型から考察していくというコンセプトの書籍で、キャラクターのつくり方 とは書いてありますが、物語を創る側ではなく読み解く側にこそ読んで貰いたい一冊です。
話を戻します。
『SSSS.GRIDMAN』の構造は〈塔の中の姫君〉の類型で姫や塔は、当然、暗喩ですが、新条 アカネという救出対象(姫)であり、この物語の推進力です。
では、塔とはなんだろうかと考えると途端に難しくなりますが、そこが本作の魅力でもあります。
『SSSS.GRIDMAN』にとっての塔とは新条 アカネの内面にあり、彼女を閉じ込めている塔は彼女自身の中にあるわけです。ここまでの説明で察しですが、このパターンって視聴者を納得させるだけのカタルシスを与えるのがとても難しいです。この類型をみると僕は決まってTVアニメ版エヴァの最終回を思い浮かべてしまうんです
内面の葛藤を敵や塔という暗喩に置き換え、それを突破・破壊するからこそ、それをみている我々はスカッとしたりするもんですが、ただの暗喩であったものが物語上でも暗喩になってしまったら途端に形而上学的になってしまうもんですから拒否反応を示す人は少なからずいるもんです。何よりも落とし所が難しい。
例えば、日々怪人と戦う少年がいて、ラスボス敵な奴を倒すと世界に平和が訪れると信じ奔走するも、実はここは自分の精神世界で敵も味方も自分の中にある…、世界は自分の解釈次第だったんだ~なんて最終話でなった時に、それを悟ることでめでたしめでたしにできる根拠(主人公の精神的な成長とか)が薄いとみてる方からすると「は?」てなりますからね。
ちなみに近年ですとアニメ『Re:CREATORS』(レクリエイターズ)は、その点しっかりと描かれている良作だったと感じます。
わーわーいうておりますが…、グリッドマンおもしろいわ。