こんばんは。オガサワラです。
漫画『暮れ六つ』を読んだので感想とか書きます。

- 作者: 尾籠憲一
- 出版社/メーカー: taikaisyu.com
- 発売日: 2017/11/02
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
ちなみにこちらの作者はWEB漫画『胎界主』で知られている尾籠憲一先生です。
ざっくり概要
表紙に異色短篇漫画集と書いてある通り短篇集で、
・暮れ六つ
・覗き顔
・道連れ
の三篇が収められています。各話に繋がりがあるわけではなく、ほんとに短篇集って感じです。
ちなみに、最初の『暮れ六つ』はフルカラー。
ジャンルはホラーになるのかな、『暮れ六つ』は怖いというより、不思議な話という印象。ただ続く『覗き顔』と『道連れ』は、まあ怖いです。内容に触れると過度にネタバレしてしまいそうなので自粛しますが、まあ怖いです。
作風で説明すると『不安の種』とかイメージしてもらうと分かりやすいかも知れません。あと、『世にも奇妙な物語』とか。
日本のホラーとサイコ・スリラー
それにしても、日本人の考えるホラーというのは、あとを引く怖さがありますよね。半分偏見もありますが、日本のホラーは陰湿で発想が小ぢんまりしていて、だからこそ現実のリンクする部分があったりして、あとを引くのでしょうね。
漫画『暮れ六つ』も正に日本のホラーという感じで、独特のじめじめした読後感があります。
特に『覗き顔』と『道連れ』なんかはいい感じに怖いですね。どういう風にいい感じに怖いのかというと単に心霊現象的なホラーに終始するのではなくサイコ・スリラーなのが良いです。個人的な趣向ですが。
やっぱ生きてる人間が一番怖いっていうね。
この生きてる人間が一番怖いって感覚は、サイコ・スリラーに限らずホラー作品ってのはやっぱり生きてる人間が恐怖に狂ったりするから怖いんだと思うんです。
最近の作品でこれをバリバリ体現している漫画が『頭のネジ』だと思います。僕と趣向が似てる人にはおすすめです。あと『不安の種』はホラー漫画を求めている人には鉄板ですね。
お化けが現れても「で?」みたいな図太い人間ばかりが登場するホラー作品なんて何も怖くないですよね。ホラー作品の登場人物はビビりじゃないといけないし、なんならその恐怖に耐えきれずに狂わないといけない、それをみて始めて怖ッってなるんだと思います。
話は変わりますが、昔、加藤はいねさんが映画『貞子 VS 伽椰子』について、
怖いとか怖くないとか以前にね、まず両方がお化けなのおかしい。
お化けが何で怖いってね、死んでるお化けが生きてる人をね、わざわざおどかしてくるから怖いわけ。
なのにね、人ほったらかしで、お化け同志でVSってあれだよね、簡単に言うところの、貞子と伽椰子が何かもめてるっぽいてことなわけですよ。
もめごとを映画化してるわけですよ。
と言及されていましたが、ほんとこれです。
閑話休題。
漫画『暮れ六つ』ですが、ホラー作品としての完成度が非常に高い秀作といった感じですので、興味が湧いた方はぜひぜひ読んでみてください。