こんにちは。オガサワラです。
先日、2年振りの新刊となる第10巻が発売された漫画『ヒストリエ』ですが、この独特のカラッとした雰囲気は岩明均さんにしか出せないなー、と。
やっぱおもしろい。
歴史漫画のおもしろさも再確認しました。
というわけで漫画『ヒストリエ』の感想を。
多少のネタバレを含みますので気にされる方はご注意ください。
10巻の概要
今回2年振りの新刊ですしここまで間が空くと物語を把握するだけで一苦労ですよね。
とりあえず、9巻までの流れをおさらいすると、
前回フォーキオンを将軍職から追い落とすためにアテネに潜入し、幼少期のエウメネスの従者だったカロンと再開。
で、実はカロンが…のような描写もありつつ。(…の内容は9巻を参照)
エウメネスは進軍してきたマケドニア軍と合流というのが大まかな流れで、10巻では「カイロネイアの戦い」が展開されます。

【出典:ヒストリエ】
「カイロネイアの戦い」というのは紀元前338年8月2日に起こったと記録されている実際にあった戦いです。
もちろん、漫画『ヒストリエ』でも史実に基づいて展開されるので、勝敗などは変わらないのですが、事象は史実に基づいていたとしても登場する偉人たちの人物像は作者である岩明 均さんの独自解釈が多く含まれています。
現代漫画なので当然と言えば当然なのですが台詞まわしなんか現代的で、
これまでもペルシアの名将・ハルパゴスが、
「ば~~~っかじゃねえの!?」
なんて言っちゃったりしています。
とまあそんな感じに、史実に登場する偉人を岩明 均さんが独自解釈し人物像の掘り下げる。これが絶妙に良いキャラしているんですよね。この辺りが、この漫画の魅力ともいえるのではないでしょうか。
そして10巻もこの魅力がたっぷり含まれた内容になっていました。
全体的な雰囲気はカラッとしていますが、人物像の掘り下げ方は極めてウエットという印象です。(矛盾しているようで上手く共存している不思議)
中でも10巻ではエウメネスとオリュンピアスの話は中々に切なかったです。
描写が丁寧で感動する
アレクサンドロスが首を落とした敵兵から武器を拝借しようと敵の持っていた円形の盾を地面に落とすという場面が10巻にあるのですが。
この地面に落としたスパルタンシールドのような盾がわんわんと音をたてている描写がありました。
ちなみにこういう形状の盾です。

【出典:Wikipedia】
僕はこれまでの人生でスパルタンシールドを地面に落としたことはないけれど、
なるほど、スパルタンシールドを地面に落とすと、ぼとりではなく、低い音でわんわんと鳴きながら回転し、徐々に動きが小さくなっていくだろう、とスパルタンシールドを落とした際の景色をリアルに想像させられます。
このあたりの細かい描写には感動すら覚えます。
歴史漫画のおもしろさを再確認
そもそも漫画『ヒストリエ』のモチーフは、アレキサンダー大王の書記官エウメネスの波乱に満ちた生涯です。
エウメネスは実在している人物であることから漫画『ヒストリエ』は、史実をモチーフとした歴史漫画であるといえます。
とはいえ、岩明 均さんの独自解釈が多段に含まれています。
タイトルの『ヒストリエ』は、
ギリシャ語の「イストリア」
ラテン語の「ヒストーリア」
ドイツ語の「ヒストーリエ」
英語の「ストーリー」
が由来であると考えられます。
つまり広義に、フィクション、ノンフィクション問わず物語ということですね。
この点からも漫画『ヒストリエ』が史実を忠実に描くことよりも史実の中の物語を独自解釈で描こうというアプローチの作品であることがうかがえます。
あまり改編し過ぎると歴史漫画の枠すらも飛び越えてしまいますが、人物像なんかは作者によって自由に描かれていることが多いですよね。
歴史漫画のおもしろさってこういうところだと改めて感じさせられます。
歴史漫画といえば、個人的に、最近、おすすめの歴史漫画といえば、これ。
かなりおもしろいので興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
というわけで今回は漫画『ヒストリエ』10巻の感想記事でした。
漫画『ヒストリエ』は、歴史漫画が好きな人からすると言わずもがなの名作ですが、他にもこんな歴史漫画がおすすめというコメントがあれば気軽に書き込んでくださると嬉しいです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。