おはようございます。オガサワラです。
先日、何かみるもんないかな~と、ふとAmazonプライムビデオを覗いてみると…
なんとアニメ版「火の鳥」が観れるではありませんか!?
いつ追加されたのだろう…、と思いながら再生をしてみるとおもしろくて視聴が止まらない!!
原作も最高ですが、もう「火の鳥」というタイトルそのものが歴史的名作ですよ!!
とはいえ、コアな原作ファンからは評価の低いアニメ版…。
僕はアニメ版もアニメ版でおもしろいと思うし、なによりも原作の窓口になってくれるなら原作ファンとしてもこれほど良いことはないと思うのでアニメ版「火の鳥」、また「火の鳥」という作品自体の持つおもしろさを全力で伝えたいと思います!!
音楽が良い
アニメ版にあって原作にないもの…、やっぱりそれは音楽ではないでしょうか。
音楽が良いか悪いか…、それだけで作品の印象はだいぶ変わってくるものです。
ご安心ください!
アニメ版「火の鳥」の音楽、良いです。
こちらはED曲。
僕が編曲を担当されている冨田恵一さんのファンということもあるのですが、中島美嘉さんの歌う「火の鳥」は、冨田節全開でかなり良いです。渋い。
OPも最高です。
最高なのですが、オフィシャルの動画がみつからないので…、動画は割愛させて貰います。
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の演奏といい
陳敏さんの二胡の音といい
諫山実生さんのコーラスといい
ひとことで言うと壮大!!
ちなみに諫山実生さんといえば月のワルツ。
諫山実生さんの声はホント、最高です!
ぜひともアニメ版「火の鳥」のOPも聴いてみて頂きたいところですが…、それは本編を視聴する時の楽しみに…。
ループ構造の先駆け作品
テーマは「輪廻」と、さすが天才手塚治先生が生涯を掛けて描こうとした物語だけあり、とんでもなく壮大です。
時を欺く
終わらない夏休み
とある1日を繰り返す
死んだらまたやりなおし
近年でこそ珍しくないループ構造の物語。
「火の鳥」はそのループ構造を持つ物語の先駆け的な作品です。
輪廻転生という概念自体がループ構造なので、それをテーマにした物語がループ構造をとるのは必然とはいえ宗教的概念をサブカルチャーに取り込むというアイデア…、「ブッダ」しかり、本当に偉大な発明ですよね。
「火の鳥」が以降の作家に与えた影響は計り知れません。
アニメ版の構成と原作との違い
黎明編(全4話)
復活編(全2話)
異形編(全1話)
太陽編(全4話)
未来編(全2話)
と、アニメ版は全5編で成り立っています。
漫画版は12編なので原作と比べて大幅に短縮されています。
さらに改編箇所も多く、原作の実験的表現がほぼ配されていたりと…、このあたり原作ファンからあまり評判がよろしくない最大の要因ですね。
とはいえ、おもしろい作品であることには変わりません。
原作との違いは、アニメ版はアニメ版だと割り切るのが一番。
アニメ版「火の鳥」を通じて原作に興味を持つ人が増えるのは良いことですしね。
というわけで一編ずつ原作との違いを踏まえつつみてみましょう。
黎明編
「火の鳥」の導入ともいえる編で、後の編へループ構造として受け継がれていく要素が詰まっています。
代表的なループ要素は、もちろん「火の鳥」。全編通して出てきます。
古事記や日本書紀がモチーフである登場人物達も後の編で輪廻転生し再び登場したり、黎明編での印象的なシーンが違う編でも形を変えて繰り返されたりと、おもしろいです。
それにしても運命に導かれるままに「火の鳥」に振り回される登場人物達はみていて、まさに輪廻の業に絡めとられているようにも感じます。
猿田という人物が全編通して出てくるのですが、彼は自身の業の深さ故に生まれては苦しみ生まれては苦しみという輪廻の苦しさを体現したような登場人物です。
ちなみにアニメ版より原作の方が毎編これでもかというほど、苦しい目に合います。
復活編
時は25世紀、地球は環境悪化により徐々に人の住める惑星としての死に近づいていました。
その地球を緑溢れる惑星へと再生する構想「フェニックス計画」の研究員が、復活編の主人公のレオナ・宮津です。
彼は研究施設の爆発事故により脳を損傷し人工頭脳を埋め込むことにより一命を取り留めますが…、その復活は完全なものではありませんでした。
記憶を亡くすと共に人間がガラクタにみえてしまうという後遺症があったのです。
物語の大筋はこんな感じです。
月面にいる未知の生態エネルギーであるフェニックス(火の鳥)、中二的にはなんとも胸熱な展開ですが、実はこの編は原作とは設定がぜんぜん違います。
まずレオナが人工頭脳を埋め込まれる原因がアニメ版では研究施設の爆発事故なのに対して原作ではエアカーの事故であったり、主人公であるレオナは研究員ではなくごく普通の若者という設定です。
アニメ版が専らフェニックス(火の鳥)という未知のエネルギーの利権をめぐる物語なのに対して、原作の方は人間の主観と人口脳と人間の違いであったり、ロボットによる犯罪であったりがテーマとなっており、原作とアニメ版では、まったく異なるテーマ性を持っています。
異形編
己の業により大変な目に合う僧のお話。1話しか枠がとられていない分、かなり駆け足ですが…、ループ構造色の強い編ですね。必見です。
太陽編
この編も原作とかなり異なります。
この太陽編のできと未来編のできは、原作ファンからはすこぶる評判が悪いですね。
確かに、太陽編の改編はいくら尺の都合もあるとはいえどうかと思います。
というのも太陽編って原作では2パートあって本編と本編より1000年後の未来の話が交差する話なんですよ。
でアニメ版では本編より1000年後の話がまるまるカットされているという…。
正直これは悪変だったと思います。
未来編
未来編も原作からカットされた部分とか逆につけたされたシーンが多々あります。
太陽編と並び原作ファンからは評判の悪い未来編ですが太陽編とは違い未来編は個人的に気に入っています。
最後に未来編を持ってきたのは13話という尺でまとめることを考えたら良い判断だったのではないでしょうか。
というのも実は原作では太陽編が最後でありアニメ版の最後の編である未来編は黎明編の次に発表されています。
輪廻というループ構造を説明するにあたり未来編は大きな役目を担っている編なので、ここで物語を締めることにより13話という短い尺の中でも生命の描く円が分かりやすく描かれていて、独立した編から成るためにどの編からでも読めるという「火の鳥」の特性を活かした見事な編集だと個人的には思います。
これだけでもアニメ版を見る価値はあるのではないかと思うほど。
まとめ
今回は「火の鳥」を知らない人がこの作品に少しでも興味を持って貰えるようにとアニメ版「火の鳥」のことを記事にしてみました。
上手に魅力を伝えることができているといいのですけれど…。
なにわともあれ、この記事により原作と共にアニメ版「火の鳥」に少しでも興味を持って貰えたら幸いです。