どうも。オガサワラです。
先日「衛府の七忍」と同じ世界線での話だという「エクゾスカル零」と「蛮勇引力」を読了しました。
ここで一旦、広大な山口貴由の世界を整理してみたいと思います。
山口貴由の世界
「エクゾスカル零」に出てくる作中作を用いて時系列を整理するとこうなります。
時系列としては、『覚悟のススメ』→『開花のススメ』→『衛府の剣』(動地憐が活躍した時代)→『蛮勇引力』(西暦2051年)→『鉄腕探偵リッカ』(初夜六花が活躍した時代)→『大帝戦記レオクロス』(九十九猛が活躍した時代)という順で、『覚悟』の時代に破壊された世界が『開花』の時代に復興を始め、『衛府』の時代に新エネルギーでほぼ復興を遂げたが、『蛮勇引力』の時代に再び崩壊した、という流れになっている。
出典 ウィキペディア
どうやら「衛府の七忍」が今のところ時系列的には最も古く。強化外骨格の前身を描いた作品となってるっぽいです。
ちなみに単行本として出版されているものだけで時系列を再度整理してみるとこうなります。
↓
覚悟のススメ(完結済み全11巻)
↓
蛮勇引力(完結済み全4巻)
↓
エクゾスカル零(完結済み全8巻)
※開花のススメは作画が苺野しずくなので、山口貴由作品としてカウントしていいのか分からなかったので時系列からは外してあります。
エクゾスカル零

- 作者: 山口貴由
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2013/09/27
- メディア: Kindle版
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「エクゾスカル零」がどういう話しなのかなのですが、ざっくり説明すると、「正義を行う者」と呼ばれるヒーロー達が各々の時代で人類の平和を守り役目を全うした後に、コールドスリープされ眠りにつくのですが、長い年月を経てコールドスリープから目覚めてみれば、既に文明は崩壊していて、それどころか人類は滅びる一歩手間の状態。絶対的な力を持つヒーローも過酷な状況の中で飢え絶望に打ちひしがれる人々に対しては無力でしかなく滅び行く人類をただただ傍観するしかない、みたいな感じのお話で、あくまでも個人的な解釈ですが、勧善懲悪に対する強烈なアンチテーゼを感じました。
登場人物が酷似している
「エクゾスカル零」に登場する「正義を行う者」は7人なんですね。これは「七つの大罪」がモチーフになっているらしいのですが、「衛府の七忍」もまたタイトルからも分かる通り主要キャラが7人出てくる筈で、今のところ登場している七忍らしき主要キャラは「エクゾスカル零」で描かれているヒーローと性格的な設定は異なるものの同姓同名だったりします。どうやら、こうした構造のことをスター・システムというらしいです。といった訳で、今後のストーリー展開は読めなくとも登場する人物はある程度は予測可能なので、こういう点も「衛府の七忍」を楽しむポイントになりそうです。
蛮勇引力

- 作者: 山口貴由
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2013/10/15
- メディア: Kindle版
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テクノロジーがなければ生きられない人類に警笛を鳴らす
融合種、彼らは最早テクノロジーなしでは生きられない身体となっており、謂わば技術を独占している一企業に心臓を握られているも同然です。エネルギーやテクノロジーに依存することの危うさ、ただその技術力が人類を滅亡の淵から救ったのも事実なのですが…。
由比正雪の正義
主人公、由比正雪は、結局そのシステムをぶっ壊す訳ですが、それが正しかったのかは分からない。実際、この後に人類は滅びへの一途を辿りエクゾスカル零へと繋がります。
エクゾスカル零への布石
由比正雪の貫いた正義こそ後に、エクゾスカル零でも描かれる勧善懲悪へのアンチテーゼや人類の火を守ろうとする者である、動地憐や既に人と呼んでいいのか分からない様な到達者すら愛そうとした九十九猛、時代に左右されずに己の正義を病的なまでに貫こうとする葉隠覚悟の対比の源流なのかも知れないと蛮勇引力を読んで感じました。とりあえず、葉隠覚悟は、自分の正義を貫いた結果、人類が滅んでも構わないのであり。サイコパスです。
まとめ
山口貴由さんは自作で人気の高いキャラを別の漫画でも作中人物として登用するような手法を用いることで有名な漫画家です。
これらの手法はスターシステムなどと呼ばれており、古くは手塚治虫さんが漫画の分野でははじめて取り入れたそうです。
このスターシステム具体的にどういうものなのか山口貴由さんの漫画を例に説明をすると、《葉隠覚悟》は『覚悟のススメ』の主人公ですが、『エクゾスカル零』の主人公でもあり、さらに『衛府の七忍』でも《葉隠谷の覚悟》が主人公です。
このように違う作品ごとに同じ登場人物が出演したりしています。さらに作品ごとの世界観も地続きになっていたりと、とても奥が深いです。
山口貴由さんが生涯をかけて描く大きなひとつの物語から今後も目が離せません。
最後まで読んで頂きありがとうございました。