こんばんは。オガサワラです。
ルイス・キャロルの書いた児童小説『不思議の国のアリス』と言えば知らない人がいないくらいの超が付く人気作品です。
これまでに数々のリメイク、また『不思議の国のアリス』をモチーフとした作品が多く存在します。
そんな『不思議の国のアリス』をモチーフとする映画でひときわ禍々しい光を放つ変わり種の作品があるので紹介します。
それが、こちら。
ヤン・シュヴァンクマイエルの『アリス』です。
『不思議の国のアリス』がモチーフの本作は、かの有名なディズニーが手掛けた『不思議の国のアリス』とは一線を画すダークな世界観を持った映画。
一言で表現するのなら、まるで悪夢のような不思議の国が描かれています。
悪趣味なストップモーションアニメとヤン・シュヴァンクマイエル
ヤン・シュヴァンクマイエルと言えばストップモーションを多用した独特の映像を作る映像作家として知られています。
そんな彼の作品を解説する際に重要な言葉として、度々挙げられるのが《生理的嫌悪感》。
単純に不快な映像を作るとても悪趣味な作家なんです。
不快な映像を作る悪趣味な作家というとまるで貶しているように感じますが、そんなことはありません。
この手の映像作品には不思議な魅力があります。
その証拠に、このヤン・シュヴァンクマイエルの作る作品は一部のストップモーション愛好家からカルト的な人気を博しています。
ゲームですが『アリス イン ナイトメア』のようなダークな世界観を持つ『不思議の国のアリス』が好きだという人にはおすすめです。
とはいえ、好んで悪趣味な映像を観ないという人には無理におすすめできない、まあその程度には悪趣味な映像作品です。
他のダークな不思議の国のアリス - アリスと病的なイメージの親和性
ここからは余談です。
最近でこそ不思議の国のアリスをモチーフとしたダークな作品が珍しくない気がします。
『歪の国のアリス』や『アリス イン ナイトメア』などのダークな世界観を持つゲーム。
また漫画『世界鬼』は《不思議の国のアリス症候群》や《鏡の国のアリス症候群》を設定に組み込んだダークな漫画。
など。
そもそも児童小説だった『不思議の国のアリス』がダークな世界観で描き易いのはどうしてなのでしょうか。
『不思議の国のアリス』をモチーフとしてダークな世界観を描いたのってヤン・シュヴァンクマイエルが最初ではないだろうかと思うんです。
ということはヤン・シュヴァンクマイエルの影響から?
とはいえ、ヤン・シュヴァンクマイエル以降の『不思議の国のアリス』をモチーフとしたダークな作品が全てヤン・シュヴァンクマイエルの『アリス』の影響下にあるというのは流石に乱暴ですよね。
ヤン・シュヴァンクマイエルの影響も小さくはないと思いますが、『不思議の国のアリス』のゴシック・スタイルが病的なイメージと結びつきやすかったというのもひとつの要因ではないでしょうか。
僕は、俗にいう《ゴスロリ》に対して、《メンヘラ》である傾向が強いという先入観があります。
これが世間一般なイメージなのかどうかは置いて置いても、同じく《ゴスロリ》と《メンヘラ》を結び付けて考える人は少なからずいるようです。
何故、ゴシック・スタイルが病的なイメージと結びつき易いのか、ルーツは定かではありませんが…。
恐らく、アリスが実は精神病患者だったという都市伝説からそのようなイメージが付いたのではないだろうか…と勝手に考えています。
また、そもそも冒頭ではダークな世界観との対比として挙げたディズニーの『ふしぎの国のアリス』もダークとは呼べないもののアシッドだと評されることが良くあります。
アシッドとは幻覚性のドラッグのことを指す隠語なのですが、まるで幻覚性のドラッグによるトリップのような雰囲気を持つ映像作品を指す言葉として使われます。
そして、このアシッドな雰囲気は統合失調症などの病的なイメージとの結びつきも強いように感じます。
このことから《アリス = メンヘラ》とねじ曲がった解釈をすることもできます。(かなり屈折していますが)
なので、なんだかんだディズニーの『ふしぎの国のアリス』も解釈の次第で相当ダークということになり…。
そもそも、原作も含めて『ふしぎの国のアリス』という作品そのものが病的なイメージとの親和性が高いのかも知れません。
まとめ
というわけで今回はまるで悪夢のような素敵な映画『アリス』の紹介と不思議の国のアリスと病的なイメージってどうして親和性が高いんだろう…ということをつらつらと考えてみたという記事でした。
ダークな世界観のアリスについて、もう少し具体例を出せると良かったのですが…、パッと思い浮かびませんでした。
他にもこういうのあるよという方は気軽にコメント頂けると嬉しいです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。